復活の足がかりを得たいケニンが本命ジェンに挑む 日本勢対決のダブルスは初優勝かけた一戦に
東レPPOテニス
トーナメントアンバサダー
土居美咲
一昨年の準優勝者で第1シードのジェンが順当に決勝まで勝ち上がってきました。順当に、とは口で言うほど簡単ではありません。今や中国ではどこに行ってもメディアとファンに取り囲まれる大スターで、日本に来ればそのプレッシャーから少しは逃れられるかもしれませんが、すると今度はモチベーションの維持が難しくなることもあります。それでもこうして実力ある選手にしっかりと勝ってきているのは、この東レPPOテニスが初めてツアーの決勝に進出した思い入れのある大会だということ、今回こそは優勝という強い意気込みがある証拠だと思います。プレー面では、パワーがあってサーブがすばらしいのはもちろんですが、ネットプレーやドロップショットなどの質も高く多彩です。
そのダイナミックなプレーを、高精度のショットを誇るケニンがどう崩していくかが見どころですが、心配なのはケニンが準決勝で内転筋を痛めてしまったことです。ダブルスの準決勝は途中棄権。ですが、その後の記者会見ではシングルスの決勝に向けて完全にやる気を見せていました。2020年に全豪優勝、全仏準優勝という実績がありますが、ツアーの決勝進出は昨年の9月以来で、ここは何がなんでも戦いたいのではないでしょうか。回復のためにあらゆるケアを施したはずですから、とにかく少しでもいい状態でコートに立てることを願っています。もしケニンが勝てば、大会史上初のワイルドカードでの優勝という快挙でもあります。
ダブルスは決勝に3人の日本選手が残りました。青山/穂積ペアは第1シードの強豪ペアに先週のリベンジを果たしての決勝進出で、これ以上ない自信を持って臨めると思います。そして柴原選手は、先週の大阪で初めて組んだシゲムンドとのペアで2週連続優勝を目指します。青山選手と柴原選手は長くペアとして戦って好成績を残しましたが、対戦するのは初めて。青山選手のネットでの俊敏な動き、シゲムンドの絶妙なタッチ、柴原選手と穂積選手のパワフルな打ち合いに駆け引きのテクニック......ダブルス好きの日本のファン必見です!